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幕末から明治にかけて活躍した鹿児島本薩摩の窯元、柿本尚五郎の錦手花瓶を出品致します。本作で特筆すべきは、柿本尚五郎製の銘に加えて、「利行画」の銘があることです。利行とは朴利行を示します。日本が国家として初めて参加した万国博覧会は、慶応3年(1867年)の第二回パリ万博ですが、薩摩藩は日本薩摩太守政府を名乗り、徳川幕府とは別の独立したパビリオンを確保して薩摩焼を多く出品して、欧州各国から絶賛されました。この時に出展された薩摩焼を成型したのが朴正伯。絵付けはその長男の朴正官が行い、正官の長男の利行と次男の義通が父正官の補助を行いました。朴正官は、安政4年に藩主島津斉彬から直々に薩摩焼の作成技術を伝授されていますから、まさしく明治本薩摩の源流と言える画工です。本作の利行とは、この慶応3年のパリ万博に出品された薩摩焼の絵付けに参画した朴利行に他なりません。柿本尚五郎は、明治天皇陛下も行幸されたことのある田之浦陶器会社の窯元を明治12年に引き継いでいます。鹿児島の黎明館の常設展示品となっているものの一つに柿本尚五郎の錦手飾壺がありますが、これは、明治15(1882)年、有栖川城仁親王の第四子威仁親王が英国海軍に留学した時に、ベイリー大尉へ記念品として贈呈され、後年里帰りしたものです。おそらく、本作もその頃の制作であり、絵付けを朴利行に依頼したものと思われます。初期本薩摩(鹿児島薩摩)の錦手伝世品の極めて少ないことは、薩摩焼の歴史を研究されている深港氏が指摘されている通りです。その意味で本作も初期錦手の特徴を残す史料としても貴重であると言えましょう。 さて、寸法は高さが24㎝です。ご覧の通り、ありがちな口縁部の金彩の擦れもなく、透垣の金彩も美しく、ほぼ未使用です。約150年前の品物とは思えないほどの素晴らしい保存状態です。ワレ、カケ、ヒビなどの後天的瑕疵は全くありません。 現在、見かけることのできる明治期錦手本薩摩の殆どは苗代川系ですが、本作は初期の竪野系になります。その意味でも極めて貴重な作品と言えるでしょう。尚、私の説明文と写真をそのままコピペして、格安で販売すると謳う詐欺サイトがいくつかあるようです。私はオークションサイト以外には出品しておりません。騙されないようにご注意下さい。(呆れたことに、この注意文までコピペしている詐欺サイトもあります)
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幕末から明治にかけて活躍した鹿児島本薩摩の窯元、柿本尚五郎の錦手花瓶を出品致します。本作で特筆すべきは、柿本尚五郎製の銘に加えて、「利行画」の銘があることです。利行とは朴利行を示します。
日本が国家として初めて参加した万国博覧会は、慶応3年(1867年)の第二回パリ万博ですが、薩摩藩は日本薩摩太守政府を名乗り、徳川幕府とは別の独立したパビリオンを確保して薩摩焼を多く出品して、欧州各国から絶賛されました。この時に出展された薩摩焼を成型したのが朴正伯。絵付けはその長男の朴正官が行い、正官の長男の利行と次男の義通が父正官の補助を行いました。朴正官は、安政4年に藩主島津斉彬から直々に薩摩焼の作成技術を伝授されていますから、まさしく明治本薩摩の源流と言える画工です。本作の利行とは、この慶応3年のパリ万博に出品された薩摩焼の絵付けに参画した朴利行に他なりません。
柿本尚五郎は、明治天皇陛下も行幸されたことのある田之浦陶器会社の窯元を明治12年に引き継いでいます。鹿児島の黎明館の常設展示品となっているものの一つに柿本尚五郎の錦手飾壺がありますが、これは、明治15(1882)年、有栖川城仁親王の第四子威仁親王が英国海軍に留学した時に、ベイリー大尉へ記念品として贈呈され、後年里帰りしたものです。おそらく、本作もその頃の制作であり、絵付けを朴利行に依頼したものと思われます。
初期本薩摩(鹿児島薩摩)の錦手伝世品の極めて少ないことは、薩摩焼の歴史を研究されている深港氏が指摘されている通りです。その意味で本作も初期錦手の特徴を残す史料としても貴重であると言えましょう。
さて、寸法は高さが24㎝です。ご覧の通り、ありがちな口縁部の金彩の擦れもなく、透垣の金彩も美しく、ほぼ未使用です。約150年前の品物とは思えないほどの素晴らしい保存状態です。
ワレ、カケ、ヒビなどの後天的瑕疵は全くありません。
現在、見かけることのできる明治期錦手本薩摩の殆どは苗代川系ですが、本作は初期の竪野系になります。その意味でも極めて貴重な作品と言えるでしょう。
尚、私の説明文と写真をそのままコピペして、格安で販売すると謳う詐欺サイトがいくつかあるようです。私はオークションサイト以外には出品しておりません。騙されないようにご注意下さい。(呆れたことに、この注意文までコピペしている詐欺サイトもあります)
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